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西の都の物語

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冬が始まるよ♪

知られざる古鎮を歩く5日間 前夜

>この曲を聞くとあなたとのことを思い出す。

そんな曲をかける。
開かれる記憶の扉。

語りかけてくる古き友人。
蘇る街の熱気。

ほんの一瞬、触れ合った孤高の魂達の物語。



                              **


ここは?
店の中。

今は?
夜。

少し暗い店内。
入り口を入ったところに水槽。
かご。
食材になる蛇とか鶏とか魚とか。

小姐が来る。
錫。
錫の入れ物。
紹興酒を暖める。

小姐が箱に何か書いてくれる。
ああ、後でそれを見たマスターが怒ってた。
これ、何?って。



                              **


夜。
商店街。
帰り道。

泥酔?
いや、酔ってない。
飲み足りない。

転がり込む。
商店街の片隅の小さなBAR。



                              **


早く東京に戻ってきて。
約束。
東京に帰ることが決まった日。
別れの電話。

病室。
下がらない熱。
手術。
誰も来ない病室。
誰とも話さない誕生日。
メール。


                             **


東京に戻った夜。
送られてきたメール。

もう、結婚相手が決まったから。

握りつぶした携帯。
壊れた画面。
酔えない夜。

転がり込んだ商店街の片隅のBAR。

今日は何時までも開けておきます。
放っておいたら、あなた、死にそうだから。
しばらく、毎日、来て下さいね。


                              **


笑えなかった日々。
酔えない夜。

DAIさんがピンチの時には日本酒を持って駆けつけますね。

友人。
手紙。

九年付き合った彼と別れました。

そんなあなたがピンチなら、DAIが日本酒を持って駆けつける。
だから、広州に行く。


                               **


広州は、君の生まれた街。
偶然だな、マスター。

朝天路。
亀。
ゼリー。
黒。
人。
小学校。

> 私は、あの街嫌い・・・。
> 貧しくて、汚くて。


                               **


> ノブは・・・、元気なのか?

> 中国に帰ったよ・・・。

ふ、と気が付くと、カメラが子どもを追っている。


                               **


東京の片隅の小さなBAR。
結婚を決めていた彼女に裏切られて、なぜそこに居るのか分からなかったDAIと、
彼との子どもを堕胎して、行き場のなかったマスターと、
父親が居なくて、マスターの家にあずけられていた中国籍の子どもノブの物語。

膝の上にノブがちょこんと乗る。

もう、寝る時間だから部屋に戻りなさい、と、マスターが言う。
他の客が来る前に二人きりになりたい、そう、言っている。

もし、二人きりの時間がとれないなら、
私は店が終わってあなたの部屋に行く、そう、言っている。
それは、体を削って動いているあなたの時間をさらに削ること。

それも、知っていて、でも、あなたは決して来るなと言わない。
それでも私はあなたの部屋に行ってしまうから。
だから、今、二人きりになりたい、そう、言っている。

膝の上のノブが、ちょこんと呟く。

「・・・お父さん・・・。」


                            **


> この子、誰の子?

> 僕の子です。

> そして、私がお母さんなの。

> え?そうなの?本当に?

> 本当(本当)。

> ・・・もー、なんでハモルのよ!!

と、言っている目の奥が笑っている。


                               **


カラーンと音が響く。
高菜チャーハンが飛ぶ。

瞬間、よろけたノブがDAIの腕の中にいる。
DAIは、ノブの動きが見えてなかった。
しかし、体が反応している。
振り向きざまに、的確にノブを支えている。
DAIの目は後ろにもついている。

マスターだけがカウンター越しに全てを見ていた。
目が驚いている。

> ・・・すごいね・・・。

> 仕事柄な。

> そうやって、女の子も助けるから・・・。だから・・・。・・・勘違いしちゃうんだよ。

> 結局、最後は自分の足で立つんだ。

> ・・・そうじゃなくて・・・。


一度終わった恋を取り戻す言葉なら知っている。
でも、言わない。
それは、ただの幻想だから。
マスターもそれは分かっている。


                             **


繰り返す季節の中で
靴がすり減っていく

もっと肩の力抜いて
過去はどこかにしまっておけ

ここからはそう遠くないだろう
見たこともない景色


                             **


しまっておかなきゃ、な。
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by hot_soul | 2007-07-12 22:10 | 夜の戯れ言